2分で読める生成AIのいま Vol.45国内事例⑤(最終回):Azure以外のクラウドAI。実はこんなに身近に。

Vol.39から続けてきた「国内AI活用事例シリーズ」、今回が最終回です。

これまでAzure AIを中心に紹介してきましたが、最後にあえて視野を広げてみます。

Netflix、Spotify、メルカリ、、実は私たちが毎日使っているサービスの「裏側」にも、クラウドAIがびっしり詰まっていました。

【この記事のポイント】

・クラウドAIの三大勢力は、Microsoft Azure、Amazon AWS、Google Cloud

・Netflixのサムネイルは、人によって違う画像が表示されている(AWS AI)

・Spotifyのおすすめプレイリストも、メルカリの出品サポートも、裏側はクラウドAI

・「見えないAI」こそ、最も成功したAI活用の形かもしれない

今回も医療田さんと機械屋さんの会話でどうぞ。

※Vol.39 パナソニック → Vol.41 JAL → Vol.42 ソフトバンクホークス → Vol.44 大阪府に続く、国内AI活用事例シリーズ⑤(最終回)です。

======

● クラウドAIの「三大勢力」

医療田:

ねえ機械屋さん。

国内AI活用シリーズ、いよいよ最終回なんだってね。

機械屋:

はい。

Vol.35〜38でAzureの基礎を学んで、Vol.39からはパナソニック、JAL、ソフトバンクホークス、大阪府と、Azure AIを使った国内事例を見てきました。

で、最終回の今回はちょっと趣向を変えまして、、

医療田:

趣向を変える?

機械屋:

ええ。

「Azure以外のクラウドAI」に目を向けてみたいんです。

医療田:

おお。Azure以外にもあるの?

機械屋:

もちろんです。

クラウドAIには大きく「三大勢力」がありまして、、

MicrosoftのAzure、AmazonのAWS(Amazon Web Services)、そしてGoogleのGoogle Cloudです。

Azureシリーズで紹介してきた「Azure OpenAI Service」「Azure AI Vision」などの機能、実はAWSにもGoogleにも、それぞれ対応するAIサービスがあるんですよ。

医療田:

へー、、!

じゃあAzureだけが特別ってわけじゃないんだ。

で、その3つって、全部でどのくらいの規模なの?

機械屋:

2025年のデータですが、、

世界のクラウドインフラ市場は、年間で約4,800億ドル。日本円にして約70兆円を超える規模です。

そのうちAWSが約30%、Azureが約20%、Google Cloudが約13%。

この3社だけで、市場全体の約63%を占めています。

医療田:

63%、、!

3社で市場の3分の2近くなんだ。。

機械屋:

しかもAI関連のクラウドサービスに限ると、2025年の前年比で140〜180%の成長率です。

クラウドの中でも、AI分野がいま最も伸びている。

そしてここからが今回の本題なんですが、、

実は私たちが毎日使っているサービスの多くが、このどれかのクラウドAIで動いているんです。

使っている側は、まったく気づかないまま。

● Netflixの「サムネイル」の秘密

医療田:

毎日使っているサービス、、?

たとえばどんなもの?

機械屋:

まず、Netflixです。

医療田:

ネトフリ! 私も観てるよ。

機械屋:

Netflixは全面的にAWSを使っています。

で、面白いのがここからなんですが、、

医療田さん、Netflixのトップ画面に並んでいるサムネイル画像、あれ、人によって違う画像が表示されているのをご存じですか?

医療田:

え? そうなの?

機械屋:

ええ。

同じ映画やドラマでも、アクション好きの人にはアクションシーンの画像が、ロマンス好きの人にはラブシーンの画像が表示される。

AIが視聴履歴を分析して、「この人がクリックしやすい画像」を一人ひとりに選んでいるんです。

医療田:

えーーー?!

同じ映画なのに、違うシーンが表示されてるの?

全然知らなかった、、!

機械屋:

このパーソナライゼーション、AWSの機械学習基盤で動いています。

Amazon SageMakerというサービスを使って、膨大な視聴データから一人ひとりの好みを予測しているんですね。

Netflixのレコメンド(おすすめ)もそうですよ。

トップ画面に「あなたへのおすすめ」って並ぶ作品、あれも全部AWSのAIが選んでいます。

Netflix自身が「視聴の約80%は、レコメンドエンジン経由で再生される」と公表しているくらいです。

医療田:

80%、、!

つまり私がNetflixで観てるものの大半は、AIに薦められて観てるってこと?

機械屋:

そういうことになりますね。

医療田:

。。なんか、ちょっと複雑な気持ち 笑

自分で選んでるつもりだったのに。

● あのアプリも、このアプリも

機械屋:

Netflixだけじゃないですよ。

今度はGoogle Cloud側の事例を見てみましょう。

医療田:

Google側にもあるんだ。

機械屋:

たとえば、Spotify。

音楽のストリーミングサービスですね。

スマホやPCで、数千万曲以上の楽曲をいつでも聴ける。

日本でもApple Musicと並んで利用者の多いサービスです。

医療田:

あー、音楽のサブスクね。名前は聞いたことある。

機械屋:

Spotifyは2016年からGoogle Cloudに移行していまして、、

あの「Discover Weekly」、毎週月曜に届くおすすめプレイリスト、あれはGoogle CloudのAI基盤で動いています。

BigQueryでリスニングデータを分析して、機械学習モデルが「この人はこの曲が好きそうだ」と予測する。

Spotify全体のストリーム再生の約31%が、AIによるパーソナライズドプレイリスト経由だそうです。

医療田:

31%も、、!

あのプレイリスト、たまにすごくツボな曲が入ってて「よくわかってるなー」って思ってたけど、、AIだったのか。。

機械屋:

まさに「見えないAI」ですよね。

そしてもうひとつ、日本でおなじみのサービス。

メルカリです。

医療田:

メルカリ! あれは使ったことあるよ。

機械屋:

メルカリはGoogle Cloud(GCP)を基盤にしています。

たとえば出品するとき、写真を撮ると、AIが自動でタイトルや商品説明を生成してくれる機能、お使いになったことありますか?

医療田:

あ、、あるある!

写真撮ったらなんか勝手に入力されて「便利だなー」って思った。

機械屋:

あれ、Google CloudのVertex AIと、OpenAIのGPT-4o miniを組み合わせた仕組みなんです。

以前は出品に5〜10分かかっていた作業が、約15秒で完了するようになった。

医療田:

15秒、、!

それはすごいね。でもたしかに、あのとき「AIが入力してます」なんて表示はなかったような。。

機械屋:

そうなんです。

さらにメルカリでは、不正取引の検出にも機械学習が使われています。

出品された商品が偽物じゃないか、詐欺的な取引パターンではないか、、

ユーザーが安心して使える裏側で、AIが常に監視しているわけです。

医療田:

ええー。。

メルカリで安心して買い物してたの、AIのおかげだったんだ。。

● 「見えないAI」こそ、最強のAI

医療田:

でもさ、機械屋さん。

ここまでの話を聞いてて思ったんだけど、、

一番すごいAIって、「AIだと気づかれないAI」なんじゃない?

機械屋:

おっしゃる通りです。

実はそれ、AIの世界では「Invisible AI」と呼ばれる考え方がありまして。

ユーザーが「AIを使っている」と意識しなくても、自然に体験が良くなっている。

これが、AI活用の理想形だとされているんです。

医療田:

Netflixのサムネイルも、Spotifyのプレイリストも、メルカリの出品サポートも、、

全部そうだよね。私、一度もAIだと思ってなかった。

機械屋:

ええ。

そしてこのシリーズで見てきた事例を振り返ると、、

パナソニック コネクト(Vol.39)の社内問い合わせAIも、JAL(Vol.41)の客室乗務員向けオフラインAIも、大阪府(Vol.44)の議事録要約も、、

職員やユーザーが「便利だな」と感じて自然に使い続けている、という点では同じなんですよね。

医療田:

ああ、、たしかに。

大阪府の職員さんが9割「使い続けたい」って言ったのもさ、、

AIだからすごい、じゃなくて、「便利だから手放せない」ってことだよね。

機械屋:

まさにそうです。

結局、クラウドAIの真価は、、

AzureだろうがAWSだろうがGoogle Cloudだろうが、「使っている人が意識しなくても、体験が良くなっている」ことにあるんですよね。

● シリーズを振り返って

医療田:

5回のシリーズ、いろんな事例を見てきたけど、、

なんか、共通点が見えてきた気がする。

機械屋:

ぜひ聞かせてください。

医療田:

えっとね。。

パナソニックもJALもホークスも大阪府も、、

「AIを入れました、はいどうぞ」じゃなくて、ちゃんと現場の困りごとに合わせてるよね。

で、NetflixもSpotifyもメルカリも、、

ユーザーが「これ便利!」って自然に感じるところにAIを入れてる。

機械屋:

。。素晴らしいまとめですね。

医療田さん、5回分のシリーズを見事に総括してくださいました。

医療田:

え、あ、ほんと? 笑

機械屋:

本当ですよ。

「技術ありき」ではなく「課題ありき」。

そして、使う人が「また使いたい」と思えるかどうか。

これが、Azure、AWS、Google Cloud、、どのクラウドを使うかに関わらず、AI活用が成功する共通条件なんだと思います。

医療田:

なんかさ、、Vol.35でAzureってなに?って聞いてたのが遠い昔みたい 笑

でも今なら、「クラウドAIって、もう私たちの生活の中にいるんだな」って、すごく実感できる。

機械屋:

ええ。

そしてこれからも、見えないところで、クラウドAIはどんどん進化していきます。

医療田さんがNetflixを開くたびに、Spotifyで音楽を聴くたびに、、

その裏側で、AIはちょっとずつ、あなたの体験をよくしようと頑張っている。

医療田:

、、なんかそう思うと、ちょっと愛着わくね 笑

● 今回の教訓

機械屋:

では、シリーズ最終回のまとめです:

・クラウドAIの三大勢力は、Microsoft Azure、Amazon AWS、Google Cloud。それぞれにAI/機械学習サービスがある。

・NetflixはAWS基盤で、サムネイルの個人最適化やレコメンドにAIを活用。視聴の約80%がAIレコメンド経由。

・SpotifyはGoogle Cloud基盤で、おすすめプレイリストにAIを活用。全ストリームの約31%がパーソナライズドプレイリスト経由。

・メルカリはGoogle Cloud基盤で、AI出品サポート(写真→商品説明を約15秒で自動生成)や不正取引検出にAIを活用。

・AI活用が成功する共通条件は、「技術ありき」ではなく「課題ありき」であること。使う人が「また使いたい」と思えるかが鍵。

・最も成功したAIとは、ユーザーがAIの存在に気づかない「Invisible AI」である。

医療田:

5回のシリーズ、おつかれさまでした。

機械屋:

こちらこそです。

次回からはまた新しいテーマに挑みます。

医療田:

楽しみにしてるよ。

、、あ、今日なに観よっかな、ネトフリで。

機械屋:

ふふ。それ、もうAIが選んでくれてますよ。

======

● よくある質問(FAQ)

Q. クラウドAIの三大勢力とは何ですか?

A. Microsoft Azure、Amazon AWS(Amazon Web Services)、Google Cloudの3つです。それぞれが独自のAI・機械学習サービスを提供しており、世界中の企業やサービスがこれらの基盤の上でAI機能を構築しています。

Q. NetflixはどのクラウドAIを使っていますか?

A. NetflixはAmazon AWS上で動いています。レコメンドエンジンやサムネイルのパーソナライゼーションにAWSの機械学習基盤(Amazon SageMaker等)を活用しており、視聴の約80%はAIによるレコメンド経由で再生されています。

Q. メルカリのAI出品サポートはどのような仕組みですか?

A. メルカリはGoogle Cloud(GCP)を基盤に、Vertex AIとOpenAIのGPT-4o miniを組み合わせた仕組みで出品をサポートしています。商品の写真を撮るだけで、AIがタイトルや商品説明を自動生成し、従来5〜10分かかっていた出品作業が約15秒で完了します。

Q. 「Invisible AI」とは何ですか?

A. ユーザーがAIの存在を意識しなくても、自然に体験が向上するAI活用の形を指します。Netflixのサムネイル最適化やSpotifyのおすすめプレイリストがその好例で、ユーザーは「AIを使っている」とは感じないまま、パーソナライズされた体験を享受しています。

Q. AI活用が成功するための共通条件は何ですか?

A. 本シリーズで取り上げたすべての事例に共通するのは、「技術ありき」ではなく「課題ありき」でAIを導入していることです。現場やユーザーの具体的な困りごとに合わせてAIを活用し、使う人が「また使いたい」と自然に思える体験を作ることが成功の鍵です。

======

※記載の内容は執筆時点の公開情報に基づきます。

●参考

Netflix's ML framework, Metaflow drives open source adoption with AWS Service Catalog(AWS公式ブログ)

https://aws.amazon.com/blogs/mt/how-netflixs-ml-framework-metaflow-drives-open-source-adoption-with-aws-service-catalog/

5 ways Prime Video improves the viewing experience with generative AI on AWS(AWS公式ブログ)

https://aws.amazon.com/blogs/media/5-ways-prime-video-improves-the-viewing-experience-with-generative-ai-on-aws/

Google Cloud and Spotify Expand Partnership(PRNewswire、2023年11月)

https://www.prnewswire.com/news-releases/google-cloud-and-spotify-expand-partnership-to-help-unlock-creator-potential-and-reach-fans-301990156.html

Vertex AI Matching Engine を使った類似商品検索APIの開発(メルカリエンジニアリングブログ)

https://engineering.mercari.com/blog/entry/20220224-similar-search-using-matching-engine/

Mercari enhances product listings with GPT-4o mini(OpenAI公式)

https://openai.com/index/mercari/

●関連記事

2分で読める生成AIのいま Vol.44 - 国内事例④:大阪府庁の職員が「AIを使い続けたい」理由

https://www.youichimachida-ai.com/blog/2ai-vol44ai

2分で読める生成AIのいま Vol.42 - Azure AI活用事例③:ソフトバンクホークスが「1.5ヶ月」で爆誕させたAIアバター

https://www.youichimachida-ai.com/blog/2ai-vol42azure-ai15ai

2分で読める生成AIのいま Vol.41 - 国内事例②:JALの客室乗務員が「オフライン」でAIを使う理由

https://www.youichimachida-ai.com/blog/2ai-vol41azure-aijalai

2分で読める生成AIのいま Vol.39 - 国内事例①:パナソニック コネクトが「45万時間」を生み出した理由

https://www.youichimachida-ai.com/blog/2ai-vol3918

2分で読める生成AIのいま vol.35 - Microsoft Azureを使ったAI活用1。そもそもAzureってなに?クラウドって?

https://www.youichimachida-ai.com/blog/2ai-vol35microsoft-azureai1azure

●2分で読める「生成AIのいま」シリーズ。バックナンバーはブログからどうぞ!

https://www.youichimachida-ai.com/blog

Next
Next

平原大助先生にお会いしました