RSNA 2025 2日目 (12/1)の振り返り
● BI-RADS(バイラッズ)バージョン2025改訂版発表!
本日(12/1)、ついに新版発表!やっと出ました。。
2013年版以来の久々の改訂という話は数年前からあったので、
個人的には「どうしてこんなに時間がかかったんだろう」と、期待するからこそのヤキモキ感が抑えられませんでしたが。。
その裏には編集委員会の先生方の多大なるご尽力があったことと思います。
具体的な内容はこれまでの噂と大きく変わりませんが、MRIの撮像プロトコルに関して、Ultrafast(超早期相)についての言及は以前より簡略化され、関連する知見のlexiconの収載は省略されていないようですね。
早速、ACR(American College of Radiology)のWebサイトで新版が発売されています(リンク張っておきます: https://www.acr.org/.../Reporting-and-Data-Systems/BI-RADS)オンライン版・ペーパー版いずれも600ドル(約10万円)と決して安くはないですね。。
「前版までの『アトラス』と呼ぶには内容がてんこ盛りなので、今回は『マニュアル』と呼ぶことにした」そうで、ペーパー版は辞典のような分量になりそうです。私は利便性を考えオンライン版を購入しました。
● 企業ブース訪問
・Hologic
亀田京橋クリニックで使用中の同社製マンモグラフィについて、本社製品開発責任者の方とディスカッションを行いました。
英語でのコミュニケーションでしたが、現場からのフィードバックを真摯に聞き入れていただけたのは収穫でした。海外製品の導入には、本社の姿勢だけでなく日本支社がサポーティブかどうかも重要な因子となります。
今回、Hologic Japan様にこのような貴重な機会をご用意いただいたことに深く感謝しております。
・Deep Health(ディープヘルス)
アイリスの沖山先生のnoteで知った、同社の企業ブース内講演に行ってまいりました。
同社は、米国最大級の画像診断ネットワーク「RadNet」の子会社であり、AIを活用した「SmartMammography」など、検診から診断までのワークフロー全体を最適化するソリューションに強みを持つ企業です。
私が参加したのは乳房画像診断のセッション(約20分)でした。登壇されたLouis先生が、Nature Medicine誌
に掲載された
『Equitable impact of an AI-driven breast cancer screening workflow in real-world US-wide development』という論文の内容を紹介されていました。
同論文は、AIによるトリアージ等の介入が、人種や経済状況による医療格差を是正し、実臨床において公平な利益をもたらすことを実証した内容。Deep Health社は、単なる病変検出だけでなく、多段階にわたりAIを読影ワークフローに統合する包括的なAI提供を特徴としているようです。
・BRAID trial (sponsored by GE HealthCare)
GEヘルスケアによるBRAID Trial(英国からの報告)の発表がありました。これはマンモグラフィに加え、省略型MRI(Abbreviated MRI)、自動乳房超音波(ABUS)、あるいは造影マンモグラフィ(CEM)を追加することによる検査の質の向上を検証したもの。
結論として、感度に関しては省略型MRIと造影マンモグラフィで非常に高く、自動超音波もマンモグラフィ単独に比べ感度上昇と高い患者満足度が得られたとのこと。
特に注目すべきは、日本ではまだ普及途上の造影マンモグラフィの効果です。
私の師匠である獨協医科大学の久田先生も以前から提唱されていますが、特に乳癌ハイリスク群の検診において、造影マンモグラフィを活用できる環境整備が日本でも急務ですね。このBRAID Trialは、その主張を強力に裏付けるエビデンスになると感じました。
● Agentic AI(エージェンティックAI)
医療機関において「AIエージェント」をどう構築するかというセッション。
n8nを使ったノーコードでのAgent AI構築や、GPTs等を活用したローカルLLMの具体的な実装法が紹介されました。
具体的には、ハイスペックなMac Studio等でメモリを確保し、LM Studio等の環境上でGPT4AllやMistralなどのオープンソースLLMを稼働させることで、医療機関内でもセキュアなLLM環境が構築できるということで、
これは私のブログ『2分で読める生成AIの今』で考察したプライベートクラウドの概念と完全に合致しており、これまでの発信内容の答え合わせができたような手応えを感じました。
「最近のLLMそれ自体がエージェンティックである」という指摘もありました。
2025年は「エージェント元年」と期待されていましたが、実際にはLLM自体が徐々にエージェント的性格を帯びてきています。
以前のAIなら「ハンバーガーが食べたい」に対し「美味しいですよね」と返すだけでしたが、最近は「近隣のお店を調べましょうか?」あるいは「調べました」と、ユーザーの明確な指示を待たずに提案・行動するようになっています。
今後、AIの自律性が高まるにつれ、医療現場ではAIの出力を監視・監督する「監査役」としての医療従事者の役割がより重要になると予測されます。
● イブニングセミナー
GEヘルスケア・ジャパン主催のイブニングセミナーに参加しました。
同社製品を一切紹介しないというユニークなコンセプトで、近年は生成AIに関する非常に有用な話題が提供されます。 今回は、Jin Yamamura先生と、GE HealthCareのJan Beger氏が登壇されました。
Yamamura先生は「DX時代の病院経営と放射線科の役割」について講演されました。「病院データに最も近いのは放射線科医であり、データドリブンな病院管理の音頭(フラグ)を取るのは放射線科医であるべき」という先生の主張は、以前から私も強く感じていたことでした。懇親会でもその話題で大いに盛り上がりました。
また、Jan Beger氏は、ヘルスケアプロバイダー向けAI教育システム「Hello AI」を構築された方です。 「医療の文脈に沿ったAIリテラシーを高めることが重要。医療AI普及の足かせとなるのは精度(Accuracy)ではなく、受容性(Acceptance)である」 この言葉は、医療機関におけるAIリテラシー向上に心を砕いてきた身として、非常に感銘を受けました。帰国後、私も"Hello AI"を受講してみようと思います。
2日目も雪の降るシカゴでしたが、私のペースで非常に実りある一日となりました。合間には、医局の足立先生やイリモトメディカルの煎本社長ともお時間をいただき、旧交を温めることができました。
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