RSNA 2025 備忘録:1日目(2025年11月30日)

※ Special thanks to: Gemini 3 & NotebookLM (後述)

昨日からの雪がまだ残る、シカゴの朝。 時差ボケのフライトから一晩明け、しっかり睡眠をとって元気な状態で参加しました。 専門であるBreast Imagingのセッションと迷いましたが、今回は昨今の潮流を掴むべく、AI関連のセッションを中心に回りました。

まだ元気な1日目朝。

● AI論文レビューとトレンド

朝一番のセッションは、Radiology Artificial Intelligence、European Journal of Radiology AI、そしてRadiographicsといった著名雑誌のAI論文に関するレビューセッションでした。 会場では対象論文へのリンク(QRコード)が提供されていたので、帰国後や空き時間にじっくり読み込んで勉強したいと思います。

Let's learn afterwards.

● 医療版デジタルツインの現在地

「デジタルツイン」とは、元々ジェットエンジンや工場のライン管理などで、「故障予知」や「効率化」のために使われていた技術です。これを複雑な人体に応用した**"医療版デジタルツイン"**についての議論が印象的でした。

循環器領域(FFR-CTなど) 従来のCT画像(形態評価)に加え、AIと流体解析を組み合わせることで、カテーテルなどの侵襲的検査なしに冠動脈の血流や動脈瘤のリスクを予測・評価する技術が紹介されていました。

オンコロジー領域(がん診療) 腫瘍の「サイズ」だけでなく、「形状」「中身の不均一さ(ヘテロジェネーティ)」、さらには患者の「骨格筋量」や「代謝」といった多彩な情報をAIで統合解析。これにより、抗がん剤の効果判定や予後予測の精度を高め、より質の高い個別化医療(プレシジョンメディシン)を提供します。

また、"Human-Digital Twin Interaction" という概念も提唱されていました。 これは、医師とデジタルツインが治療期間を通じて対話を繰り返し、治療後の経過(モニタリング画像)を常にフィードバックすることで、最新の仮想モデルに基づいて治療方針を微調整(アップデート)し続けるというものです。 この「Reality(現実)」と「Intelligence(知性/データ)」の対話、という視点は、最近さまざまな場面で強調されており、今後の医療AIのキーワードになりそうです。

● "All of Us" Research Program

プレナリーセッションの一部で、NIH(アメリカ国立衛生研究所)が主導する**「All of Us」**という取り組みが紹介されていました。これは、全米中のおよそ100万人規模の医療データ(EHR、ゲノム情報、生活習慣など)を収集し、巨大なバイオバンクを構築するという国家プロジェクトです。

このデータは、認定を受けた研究者がクラウド上で解析できる仕組みになっています。 バイオバンクとしては、画像データの蓄積において**英国の「UK Biobank」が先行しており、現在の医療AI研究のゴールドスタンダードとなっています。しかし、UK Biobankは白人層のデータが多いという課題がありました。対して「All of Us」は、人種や民族の「多様性(Diversity)」**を重視しており、AIのバイアス(偏り)を解消する鍵として期待されています。

また日本でも、**「BioBank Japan」**などが存在しますが、欧米とは遺伝的背景が異なるため、私たち日本人/アジア人に最適なAIを開発するには、国内データの整備と国際的な連携が不可欠だと改めて感じました。

今回のセッションでは、「現在、All of Usには画像データが不足している」として、将来的に欠損している画像情報をリンクさせるべく、RSNAの会員(放射線科医)に向けて協力が呼びかけられていました。文字情報と遺伝子、そこに「画像」が加わることで、マルチモーダルAIの研究がさらに加速しそうです。

● その他・企業展示

企業展示ではGEヘルスケアのブースへ。 新しいマンモグラフィの画像がとても印象的でした。担当の方によると、来年4月に横浜で開催されるITEMでも見られる「かも?」とのこと。各社が技術を凌ぎを削っておられる姿は、利用者として非常に心強い限りです。

夕食は、仲良くしていただいている先生方と会い、非常に楽しいひと時を過ごしました。お忙しい中、ご一緒させていただきありがとうございました。

※ 余談:学会の予復習における生成AI活用

昨日の聴講の最中や、このブログをまとめる作業には、実はGeminiやNotebookLMが本当に役立っています。 前回までは、セッション中の走り書きメモから自力で原稿を起こし、後からウェブ検索で裏取りをして…と大変な作業だったのですが、今回は以下のようなフローで作成しています。

1.講義中のメモ等を見ながら、感想をスマホのボイスメモに口頭で吹き込む(ほぼ「ぼやき」)。

2.その音声をNotebookLMで読み込んで整形(さっきのボヤキがあっという間に立派な文章に…!)。

3.関連する情報や深掘りしたい用語をGeminiで検索・補強。(さすが”検索のGoogle先生”。自身の周辺知識の補強ができ、理解も進みます)

4.最後に、ブログ原案としてGeminiで校正・仕上げ。

時差ボケの中で効率よくインプットとアウトプットを回すのに、今や欠かせないパートナーになっています。

原稿を終えて窓の外を見ましたが、まだ夜明け前(写真)。時差ぼけは続きますが、今日(2日目 月曜)も貪欲に勉強します。

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RSNA 2025 2日目 (12/1)の振り返り

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