”Microsoft New Future of Work Report 2024”

- Human AI Interaction -

最近の私のもっぱらの興味対象です。

何か良い文献ないかと調べていたところ、Microsoftからこんなレポートが2024年12月に出ていたことを知りました:

Microsoft New Future of Work Report 2024


とりあえず眺めていたのですが、

「…!これは、面白そうだぞ!?」

ということで、見出しだけ抜粋し日本語にしてみました↓


これを眺めるだけでも勉強になります。

おいおい、じっくり掘り下げてみたいと思っています。


2025年版が出るとしたら、年末かなあ。


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〇 生産性と仕事(Productivity and Work)

  • 生成AIによる「現場での」生産性アップが少しずつ確認されている。

  • 職種ごとに効果が出ているけど、スキルの高さによって差がある。

  • プログラマーの場合は、コードの修正を「これ入れていい?」と仲間に頼む仕組み(プルリクエスト)の数が増え、チームでの仕事も進めやすくなっている。

  • ただし、仕事のやり方そのものをAIに合わせて作り替えないと、長期的な効果は小さいかもしれない。

  • AIの能力やリスクを評価するときは、社会科学や統計学の視点も欠かせない。

  • AIを安全に使うためには、あえて攻撃や失敗を試して弱点を探す“模擬攻撃テスト”(レッドチーミング)の役割と限界を知っておくことも大事。

  • 合成データは、AIの弱点を補うのに役立つ。

  • 会議のやり方を見直すことで、AIは会議をもっと効率的にできる。将来は、目標に合わせた会議の進め方をAIがサポートするのが当たり前になるかもしれない。


〇 プロンプトとやり取り(Prompting and Interactions)

  • 良い指示を出すには、ちょっとしたプログラミング的な考え方や工夫が役立つ。

  • 自動で切り替わるインターフェースは、指示をもっと簡単にしてくれる。

  • 大きな仕事を小さなタスクに分けるやり方(マイクロプロダクティビティ)は、いまやAIへの文章作成の指示にも使われている。

  • 画面を操作して細かく注文できる仕組み(対話型グラフィカル・マイクロプロンプティング)は、ユーザーに「自分で操作してる」感覚を与えてくれて、体験をより満足できるものにする。


〇 思考と学習(Thinking and Learning)

  • 人がAIにどう関わるかは「自信」と「能力」に左右される。

  • デザインを誤ると、AIは答えを均一化させたり、人の思考力を弱める可能性がある。

  • 簡単な工夫でも、AIを使いながら批判的思考を保てる。

  • AIとノート取りを組み合わせると、記憶に残りやすく、関心も高まる。

  • 新しいスキルを学ぶには、すでに熟練した人向けのAIよりも、頭をより使わせてくれるAIが役立つ場合がある。

  • 教育現場での初期研究では、AIが教師の関与を高め、学習成果を改善する助けになり得ることが示されている。


〇 適切な頼り方(Appropriate Reliance on AI)

  • AIを正しく頼ることを妨げる要因は複数ある。そのためのUXの目標は次の3つ:

  1. ユーザーがAIの「できること/できないこと」を現実的に理解できるようにする

  2. ユーザーが注意深さを保てるようにする

  3. 出力を検証しやすくする

  • LLMの出力を信頼してもらうには、細かい設計の工夫が大切になる。


〇 ユーザー体験(User Experience)

  • AIとのやり取りのあり方は変わりつつあり、AIは「新しい会話の媒体」として使われている。

  • チャット後の工夫は、プロンプトの難しさを解消する助けになりうる。

  • 共感的にふるまうAIをきちんと導入すれば、関心や満足度が高まる。

  • 使うアプリによって、人々が期待するAIの人格(キャラクター像)は変わる。

  • 言葉だけでなく文脈や例を踏まえたとき、AIはより力を発揮する。

  • チャットボットは「ただ自動で返す」のではなく「一緒に考える」ほうが効果的。これは、人と人が会話を協力的に進めるための基本ルール(協調的会話の原則)を活かすことにつながる。

  • 技術力に加えてUXも、「次世代の思考ツール」を実現する鍵。ポストチャットの仕組みやノートブックがますます中心になっている。


〇 エージェント(Agents)

  • デジタル分身(自分の代わりをするコピー)には、メリットもリスクもある。

  • 今年の大きな研究テーマは、ユーザーに代わって行動できるAIエージェントの開発だった。

  • エージェントの可能性を引き出すには、いくつかの重要な研究分野の進展が必要。

  • 生成AIの影響を理解するには、人のようにふるまうAI(擬人化AI)の影響も考えなければならない。


〇 社会と文化(Society and Culture)

  • AIは仲介役を助け、途上国の人々へのサービス向上に役立つ。

  • 世界の生産性を高めるには、AIが各地域の価値観や状況を反映する必要がある。

  • 資源の乏しい言語やデータ環境では、まだAIの恩恵が十分に行き届いていないが、改善を目指す研究が進んでいる。

  • 低資源言語での研究開発はAIで強化できるが、人の監督とあわせて進めるべきだ。

  • クリエイターは、創造を支えるAIツールの作り方を実際に示している。

  • 生成AIをめぐる議論は未来を形作る。

  • その議論は過去の繰り返しでもある。

  • 比喩の使い方は、AIが「何であるか」「どうあるべきか」のイメージ形成に影響する。

  • AIの未来は決まっているように見えるかもしれないが、早い段階で「もうこういうものだ」と決めつけてしまう(言説の閉鎖)は避けるべきだ。


〇 2023年版の再掲載(2023 Revisited)— 2024年にかけて重要性が増した昨年のスライドの再点検

  • “Fast AI” と “Slow AI”:LLMの利用場面によって必要な反応速度は異なる。

  • 分析や統合は、検索や生成より重要なスキルになるかもしれない。

  • 相補性は、人間中心でAIと協力する基本姿勢である。

  • 新しい技術による雇用創出のカギはイノベーション。

  • 行動喚起:「科学者のようにリードせよ」。

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2分で読める「生成AIのいま」Vol.22 - "Moravecのパラドックス"の現在地と、労働環境に及ぼす影響