2分で読める生成AIのいま Vol.87|AWS CAF for AIを読む(前編) ― 技術だけではない、AIの組織導入に必要な要件とは

MicrosoftやAmazon(AWS)、Googleが、AIを「作る人」ではなく「導入を決める人」に向けたビジネス向けの認定資格を相次いで増やしています。そうした資格の学習範囲に登場するのが、AWSの「CAF(クラウド導入フレームワーク)」のAI版、CAF-AIです。2023年に作られ、いまでは公式に「歴史的参考資料」とされる古い枠組みですが、「AI導入における技術以外の問題」を洗い出すための地図としては、いまも十分に使えます。前編では、CAF-AIの全体像と進め方、そして6つの観点のうち「ビジネス」と「人材」を、医療田さんと機械屋さんに広げてもらいます。

(※2026年10月時点の情報です。)

今回も医療田さんと機械屋さんの会話でどうぞ。

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● 資格勉強に出てくる「CAF」ってなに

医療田:

ねえ機械屋さん。

私ね、実はこっそり、AWSの資格の勉強を始めたんだよ。

機械屋:

お、そうでしたか!

医療田さんがAWSとは、意外です。

医療田:

ふふ。

AI Business Strategist、っていうやつ。

プログラミングができなくても受けられるって聞いて。

機械屋:

ああ、AIB-C01ですね。

2026年9月に発表されたばかりの資格です。

医療田:

でね、教材を読んでたら、「CAF」って言葉がやたら出てくるんだよ。

カフェ? って思ったけど、たぶん違うよね。

機械屋:

ははは。。違いますね。

CAFは、Cloud Adoption Frameworkの略です。

日本語にすると、「クラウド導入フレームワーク」でしょうか。

医療田:

フレームワーク、、

枠組み、ってことだよね。

機械屋:

そうです。

その前に、この資格がどういうものか、少しだけ説明させてください。

CAFが出てくる理由が、そこにありますので。

医療田:

うん。

機械屋:

AWSの資格は、これまでほとんどが「作る人」向けでした。

AIのシステムを組み立てたり、設定したり、運用したりする腕前を問うものです。

ところがこのAI Business Strategistは、AWSで初めて、技術ではなく「ビジネスの判断」を問う資格なんです。

AWSの資格の一覧に「Business」という分類で載った、第1号の資格でもあります。

医療田:

へー、、プログラミングの問題は出ないの?

機械屋:

出ません。

コードを書くことも、AWSの設定をすることも、試験の範囲から外されています。

問われるのは、AIに投資すべきかどうか、どう成果を測るか、どうやって組織に広げるか、といった判断です。

医療田:

なんでまた、そんな資格を作ったんだろう。

機械屋:

AWSが資格を発表したブログに、その理由が書いてあります。

何らかの業務でAIを使っている組織は88%にのぼる一方で、意味のある成果が出ていると答えた組織は19%にとどまる、というデータです。

医療田:

88%が使ってて、成果は19%、、

ほとんどの組織が、使ってるけど成果が出てない、ってこと?

機械屋:

そういうことになります。

足りないのは、AIを作る腕前ではなく、AIを組織に根づかせる腕前のほう。

だから「決める人」向けの資格が必要になった、というわけですね。

実際、マイクロソフトもグーグルも、同じようなビジネス向けのAI資格を、ここ1〜2年で相次いで出しています。

医療田:

みんな同じ悩みを抱えてるんだね。

で、その「根づかせる腕前」の教科書が、CAFってこと?

機械屋:

はい、そう考えていただいて大丈夫です。

● CAF-AIは、AI導入の「地図」

機械屋:

もともとのCAFは、AWSがおよそ10年かけて作ってきた、企業がクラウドを導入するための枠組みです。

クラウドとは、Vol.86でもお話ししましたが、自分でコンピューターを買って置く代わりに、インターネット経由で借りて使う仕組みでしたね。

医療田:

うん、住まいの例えのやつね。

持ち家とか、ホテルとか。

機械屋:

そうです、そうです。

CAFは、そのクラウドへの引っ越しを、組織としてどう進めるか、の手引きです。

もともと、特定の技術にあまり縛られないように作られてきました。

ところがAIは、ほぼすべての業界に大きな影響を与える、まったく新しい種類の技術です。

そこでAWSは2023年5月、AI専用版を出しました。

それが「CAF for AI」、略してCAF-AIです。

医療田:

AI専用版、、

機械屋:

はい。

AWS自身は、CAF-AIのことを、組織全体でAIを導入するときに考えるべきことの「索引」だと説明しています。

目標は、PoCで終わらせないことです。

医療田:

PoCって、なんだっけ。

機械屋:

PoCは、Proof of Conceptの略で、「概念実証」と訳されます。

本格導入の前に、小さく試して、うまくいきそうか確かめることですね。

医療田:

あー、、

で、「とりあえず小さく試してみました」で、そのまま終わっちゃう、というか。

機械屋:

まさにそれです^^;

1回試して終わらせず、組織全体に広げるには、何を考えなければいけないか。

その全体を見渡すための地図が、CAF-AIなんです。

医療田:

ふんふん。

その地図には、何が描いてあるの?

機械屋:

まず全体像として、AIを取り入れるには、少なくとも4つの領域を変える必要がある、と書かれています。

・技術:AIを使える技術的な土台をつくる

・業務プロセス:仕事の流れを、AIで自動化したり、改善したりする

・組織:事業の部門と技術の部門が、どう連携するか

・製品:AIを活かした新しいサービスや、お金の稼ぎ方を考える

医療田:

技術って、4つのうちの1つでしかないんだね。

機械屋:

そこが大事なポイントです。

ちなみに、こうした「地図」はAWSだけのものではありません。

マイクロソフトにも、クラウド導入フレームワークのAI版があって、「戦略、計画、準備、統制、管理、保護」という6つの段階で整理しています。

グーグルにも、「人、プロセス、技術、データ」の4つの領域で、組織のAIの成熟度を測る枠組みがあります。

医療田:

各社とも、自分たちの地図を持ってるんだ。

機械屋:

はい。

描き方は違っても、指している方角は、だいたい同じなんです。

「AIは技術だけでは進まない」という方角ですね。

● 旅の進め方:目的地、エンジン、燃料、そして4つの段階

機械屋:

CAF-AIは、AI導入を「旅」にたとえています。

その旅には、4つの要素があります。

医療田:

旅、いいね。

機械屋:

1つ目は「目的地」。

どんな事業の成果を目指すのか、です。

CAF-AIでは、その目的地から逆算して考えなさい、と繰り返し出てきます。

医療田:

AIで何ができるか、じゃなくて、何をしたいか、から考えるってことね。

機械屋:

その通りです。

2つ目は「エンジン」で、これを「AIフライホイール」と呼んでいます。

フライホイールとは、一度回り始めると、勢いがついて回り続ける「はずみ車」のことです。

医療田:

はずみ車、、?

機械屋:

良いデータでAIを育てる。

AIの予測が、事業の成果を生む。

成果が出ると、お客さんとの関係が深まる。

関係が深まると、さらに良いデータが集まる。

そしてまたAIが賢くなる。

こういう好循環のことです。

医療田:

あ、わかった気がする。

行列のできるラーメン屋さんみたいな感じ?

お客さんが多いから、感想もたくさん集まって、味がどんどん良くなって、さらに行列が伸びる、みたいな。

機械屋:

まさにそのイメージです^^

3つ目は、そのエンジンを回し続ける「燃料」。

これがデータと、データをどう集めて扱うかという戦略です。

そして4つ目が、旅の成否を何よりも左右する「基礎能力」。

これはあとで、6つの観点としてじっくり見ていきます。

医療田:

目的地、エンジン、燃料、基礎能力、、

で、実際の旅はどう進めるの?

機械屋:

4つの段階を、ぐるぐる繰り返すかたちで進みます。

■ 構想(Envision)

機械屋:

最初は「構想」です。

AIで、どんな事業の成果を加速できるかを描いて、優先順位をつけます。

このとき、変革を引っぱれる立場の人を巻き込むことと、測れる成果に結びつけることが大事だとされています。

それから、その取り組みにどんなデータが必要かも、この段階で洗い出します。

■ 足並みをそろえる(Align)

機械屋:

次が「足並みをそろえる」です。

部門をまたいだ依存関係を洗い出して、関係者の心配ごとや課題を、表に出していきます。

CAF-AIは、AIの導入は、ほかの技術よりはるかに部門をまたぐ取り組みになる、と強調しているんです。

医療田:

みんなの心配ごとを、先に聞いておくってことね。

■ 試験導入(Launch)

機械屋:

3つ目は「試験導入」です。

試しの取り組みを、小さな実験で終わらせず、本番の運用まで持っていきます。

成功しても失敗しても、その学びが次の方向を決める、と書かれています。

■ 拡大(Scale)

機械屋:

最後が「拡大」です。

試験導入でうまくいったものを、組織全体へ、そしてお客さんへと広げていきます。

ここでいう拡大は、システムの規模だけでなく、事業やお客さんへの広がりも含んでいるんです。

医療田:

構想して、足並みそろえて、試して、広げる、、

なんか、新しい薬の治験みたいだね。

フェーズ1、2、3、って段階を踏んでいく感じ。

機械屋:

あ、近いかもしれません。

ただ、治験と違うのは、PDCAサイクルのように、1周で終わりではなく、何周も回すところですね。

CAF-AIには、こんな注意書きもあります。

大きな目標を持つのはいいけれど、1回のサイクルで全部やろうとすると、組織ががっかりしてしまう、と。

医療田:

あー、、わかる。

最初から完璧を目指して、みんな疲れちゃうやつだ。

機械屋:

はい。

大きな絵を描きつつ、小さな一歩を、積み重ねていく。

一歩ずつ進めながら、さっきの「基礎能力」を育てていくこと。

これがCAF-AIの基本的な考え方です。

● 6つの観点:AIの成否を分ける「基礎能力」

機械屋:

では、いよいよ本題の「基礎能力」です。

CAF-AIは、AI導入に必要な能力を、6つの観点に分けて整理しています。

医療田:

6つかあ、、最後まで耐えられるかな、私。

機械屋:

先に全部挙げますね、そのあと解説します。

・ビジネス:AIへの投資を、事業の成果にきちんと結びつける。主に経営トップや財務、IT・技術の責任者が関わる

・人材:AIと事業の橋渡しをして、変化が当たり前になる文化を育てる。人事の責任者や、部門をまたぐリーダーが関わる

・ガバナンス(統制):AIの取り組みを束ね、効果を最大にしつつ、リスクを最小にする。変革やデータ、リスク管理の責任者が関わる

・プラットフォーム:AIを開発し、動かすための土台をつくる。技術の責任者や、AIの開発・運用を担う技術者が関わる

・セキュリティ:データとAIのシステムを、機密性・完全性・可用性の面から守る。情報セキュリティの責任者や監査の担当が関わる

・運用:動き出したAIを、事業に必要な水準で動かし続ける。インフラや運用の責任者が関わる

医療田:

ふんふん。

観点ごとに、関わる人まで決まってるんだ。

機械屋:

そうなんです。

CAF-AIには、観点ごとに主に関わる役職の目安まで書いてあります。

医療田:

つまり、「AIはIT部門におまかせ」じゃダメ、ってことかな。

機械屋:

その通りです。

では、1つずつ見ていきましょう。

■ ①ビジネス:作るか、育てるか、そのまま使うか

機械屋:

ビジネスの観点では、まず、お客さんや事業の課題から出発した「北極星」、つまり目指す方向を決めなさい、とあります。

そのうえで、生成AIについては、面白い3択が示されています。

医療田:

3択?

機械屋:

生成AIの土台になる「基盤モデル」、つまり大量のデータであらかじめ学習させた汎用のAIモデルを、どう使うか、です。

・ゼロから自分たちで作る

・既存のモデルを、自分たちのデータで追加学習させる

・既存のモデルを、そのまま使う

医療田:

ゼロと、、ファインチューニングと、市販のものをそのまま、ってこと?

機械屋:

そうです、そうです。

2つ目のファインチューニングとは、すでに学習を終えたモデルに、自分たちの分野のデータを追加で学ばせて、専門向けに調整することです。

ゼロから作るには、膨大なデータと計算力が必要なので、ふつうの組織にはかなり大変です。

CAF-AIも、多くの場合、本当の価値は2つ目にある、と書いています。

つまり、既に賢いモデルに、自分たちの分野のデータで文脈を与えることですね。

もう1つ、印象的な指摘があります。

AIの取り組みは、階段のように積み上げていくもの、という考え方です。

医療田:

階段?

機械屋:

CAF-AIでは、金融の例が挙がっています。

お客さんに新しい商品をおすすめするAIを作りたくても、その前に、お客さんの取引をきちんと分類できるAIがないといけない、と。

いきなり最上階には行けない、ということですね。

そして、下の段の取り組みも、それぞれ単独で価値を生むように組み立てなさい、とあります。

医療田:

なるほど、、

スモールステップで、小さなものから作っていくっていうことかな。。

機械屋:

はい。

それから、AIで作る製品やサービスの考え方にも、注意点があります。

AIの答えは、いつも確率つきです。「たぶんこうです」という答えなんですね。

だから、AIの自信が低いときに、どう「上手に失敗するか」を、最初から設計しておきなさい、と書かれています。

医療田:

上手に失敗する、、?

機械屋:

たとえば、自信がないときは、無理に答えずに「人に確認してください」と返す。

そういう逃げ道を用意しておく、ということです。

医療田:

あー、、わからないときに、わからないって言える研修医のほうが安心、みたいなことね。

機械屋:

ははは。。まさにそれです。

もう1つ、「自前主義症候群」に抵抗しなさい、とも書いてあります。

英語では、Not invented here syndrome。

よそで作られたものを使いたがらず、何でも自前で作りたがる傾向のことです。

市場にすでにある解決策を調べるのは、後回しにしてはいけない、と。

医療田:

ああ、やりがちかもね、、

AIで何でも作れるようになりつつあるからこそ。

機械屋:

そうですね。

逆に、検討ばかりして動けなくなる「分析麻痺」も戒めています。

小さな成功を積み重ねることが、組織の中で「AIって使えるかも」という信頼を生む、とも。

医療田:

石橋を叩きすぎて、渡らないのもダメなんだね。

■ ②人材:「文化こそが王様」

機械屋:

人材の観点で、AIのために新しく加えられた能力があります。

「ML Fluency」です。

医療田:

エムエル、フルーエンシー?

機械屋:

MLはMachine Learning、つまり機械学習のことで、Fluencyは「流暢さ」です。

医療田:

ML。。

ここはAI Fluencyな気がするんだけど。

機械屋:

鋭いですね。

CAF-AIが作られた2023年ごろは、AIの中心がまだ機械学習だったこともあって、ML Fluencyという言葉になっているんだと思います。

いまなら、生成AIも含めて「AI Fluency」と呼ぶほうが、しっくりきますね。

中身は、組織の中で、AIについての共通の言葉と考え方をそろえること、と説明されています。

医療田:

言葉をそろえる、、?

機械屋:

AIという言葉は、人によって思い浮かべるものが、まったく違うんです。

魔法の箱だと思っている人もいれば、仕事を奪う脅威だと思っている人もいる。

医療田:

確かに。

旦那さんより頼りになる相談相手だと思っている人もいるよ 笑

機械屋:

ははは。。

CAF-AIは、その言葉の意味や、言葉に乗っている感情まで、まず社内でそろえなさい、と言っています。

そして、その過程で「面白そう」と目を輝かせる人を見つけて、将来の社内のAI推進役、いわばAIチャンピオンに育てなさい、と。

医療田:

たしかに、、

同じ「AI」の話をしてるはずなのに、全然かみ合わない、なんてこともありそうだもんね。

機械屋:

さらに、部門と部門をつなぐ「インターフェース語」を決めることも勧めています。

たとえば、機械学習のチームが言う「成功」と、事業の部門が言う「成功」を、きちんと対応させる。

技術側の「正解率が上がった」が、事業側の「何がどれだけ良くなった」に当たるのか、ということですね。

医療田:

そこもずれが生じやすそう。

立場がかわれば「成功」の定義も変わってしまいがちだよね、きっと。

機械屋:

そうですね。

人材については、技術の人材だけでなく、技術者ではない「製品寄り」の人材も必要だ、と書かれています。

・技術の人材:データサイエンティストや、機械学習のエンジニアなど

・製品寄りの人材:AIの製品を企画する人、AIの戦略を描く人、社内でAIの良さを広める伝道師のような人

医療田:

今回の資格が狙ってるのは、まさにその製品寄りの人ってことか。

機械屋:

そういうことになります。

それから、AI戦略を引っぱるリーダーは、外部に丸投げせず、事業のすぐそばにいる社内の人であるべきだ、とも書かれています。

医療田:

へえー。

機械屋:

もう1つ、面白い指摘があります。

AIは、価値を生むのに必要な人数が、ほかの分野より少ない。少数精鋭のチームのほうが、大人数のチームより成果を出しやすい、と。

仕事が機械的というより、知的だから、という理由です。

医療田:

わあ、なるほど。DXとAXの違いだ!

で、組織としては、どうすればいいの?

機械屋:

最初の一歩としてよくあるのが、AI専門の中核組織をつくることです。

CoE、Center of Excellenceと呼ばれます。

CAF-AIは、このCoEの報告ラインを経営層の近くに置きなさい、と言っています。

何かを決めたり変えたりするときに、すばやく動けるように、ですね。

同時に、よくある失敗として、事業の価値を生まないAI部隊を育ててしまうこと、も挙げています。

医療田:

、、耳が痛い会社、多そう。

機械屋:

そして、人材の観点の中心にあるのが、この一言です。

「文化こそが王様」。

英語では、Culture is king です。

医療田:

文化、、具体的には、どんな文化?

機械屋:

CAF-AIは、AIを根づかせる文化の柱として、こんなものを挙げています。

・実験を恐れない姿勢と、素早く改善を回すやり方

・部門やチームをまたいで、互いに頼り合う関係

・現場からの発案と、経営からの方針の、両方向でAIの使いどころを探すこと

・お客さんにとっての価値から、逆算して考えること

医療田:

ふんふん。

機械屋:

面白いのは、AIの開発には、普通のソフト開発とは違う心構えが要る、という指摘です。

普通のソフトは、複雑なルールを、人がきっちりプログラムに書き込みます。

でもAIは、「望む答えが出るような、正しい材料」を探す作業に近いんです。

だから、難しいAIの課題ほど、どれくらいの期間で終わるかを、確実には見積もれない。

それを前提に、計画を立てなさい、と。

医療田:

え、、期限が読めないって、上司を説得するの大変そう。

機械屋:

はい。だからこそ、一番お客さんの価値が大きいところに絞って賭けなさい、とも書かれています。

それから、AIへの心配の声を、ただ聞くだけでなく、ちゃんと意思決定に反映させる環境を作りなさい、とも。

医療田:

「文化は戦略に勝る」っていう、経営学の言葉もあったよね。

ドラッカーの言葉、ってよく言われるやつ。

機械屋:

「Culture eats strategy for breakfast(文化は戦略を朝食に食べる)」ですね。

ドラッカーの言葉として広まっていますが、実は本人が言ったという確かな記録は見つかっていないそうです。

いまGoogleで調べました^^;

医療田:

出典が怪しいのに、みんなが引用したくなるくらい、真理っぽいってことだね 笑

● 前編のまとめ

機械屋:

少し長くなったので、今回はここで一区切りにしましょう。

前編の教訓をまとめましょうか:

・AWSが、技術ではなく「ビジネスの判断」を問う初めての資格を出した。背景には、AIを使う組織88%に対し、成果が出ているのは19%という現実がある

・CAF-AI(AWS CAF for AI)とは、組織がAIからビジネス価値を引き出すための「地図」。PoC(小さな試し)で終わらせず、組織全体に広げるための索引

・変えるべきは技術・業務プロセス・組織・製品の4領域。技術はその1つにすぎない

・旅は、目的地(事業の成果)から逆算し、AIフライホイール(データと成果の好循環)を回して進める

・進め方は「構想→足並みをそろえる→試験導入→拡大」を、小さく何周も回す

・基礎能力は、ビジネス・人材・ガバナンス・プラットフォーム・セキュリティ・運用の6つの観点

・ビジネス:作る・育てる・そのまま使うの3択。取り組みは階段のように積み上げ、自前主義と分析麻痺の両方を避ける

・人材:AIの共通言語(ML Fluency、いまの言い方ならAI Fluency)をそろえ、技術と製品寄りの両方の人材を育てる。そして「文化こそが王様」

医療田:

AIを入れるって、まずは言葉と文化から、なんだね。

技術の勉強だと思ってた資格が、実は組織づくりの勉強だった、、

機械屋:

はい。

医療田さんの資格勉強、思わぬところで役に立ちそうですね^^

医療田:

、、私も、まずは自分の医局のML Fluencyから始めようかな。

「AIって魔法の箱じゃないよ」って。

機械屋:

ははは。。いい第一歩だと思います^^

次回の後編では、残りの4つ、ガバナンス・プラットフォーム・セキュリティ・運用を見ていきます。

医療田:

後半は技術寄りか、、

最後まで耐えられるかな、私。

機械屋:

大丈夫です、また先に全部挙げてから解説しますので^^

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● よくある質問(FAQ)

Q1. AWS CAF for AI(CAF-AI)とは何ですか?

A1. AWSが公開している、組織がAI・機械学習・生成AIからビジネス価値を引き出すための枠組みです。AWSのクラウド導入フレームワーク(CAF)をAI向けに拡張したもので、小さな試し(PoC)で終わらせず、組織全体でAIを導入するために考えるべきことを整理した「索引」と位置づけられています。

Q2. CAF-AIの4つの段階とは?

A2. 「構想(Envision)」「足並みをそろえる(Align)」「試験導入(Launch)」「拡大(Scale)」の4つです。AIで加速できる事業成果を描き、部門をまたいで合意をつくり、試しの取り組みを本番まで持っていき、組織全体と顧客へ広げます。1回で終わらせず、小さく何周も回すことが前提です。

Q3. CAF-AIの6つの観点とは?

A3. ビジネス、人材、ガバナンス、プラットフォーム、セキュリティ、運用の6つです。技術にあたるのは主にプラットフォームで、残りは戦略・人・組織・リスク管理などの組織的な能力です。観点ごとに、主に関わる役職の目安も示されています。

Q4. CAF-AIの「ML Fluency」とは何ですか?

A4. 人材の観点にAI向けとして新しく加わった能力(いまの言い方ならAI Fluency)で、組織の中でAIについての共通の言葉と考え方をそろえることです。AIという言葉は人によって思い浮かべるものや感情が違うため、まず意味をそろえ、技術側と事業側の「成功」の測り方を対応させる「インターフェース語」を決めることが勧められています。

Q5. AWS Certified AI Business Strategist(AIB-C01)とCAF-AIの関係は?

A5. AIB-C01は、2026年9月にAWSが発表した、技術ではなくビジネスの判断を問う資格です。学習範囲には、AI施策の計画と拡大にAWS CAFをどう使うかが含まれています。コーディングやAWSの設定は試験範囲外です。

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● 参考

1. AWS Cloud Adoption Framework for Artificial Intelligence, Machine Learning, and Generative AI(AWS Whitepaper/日本語版)

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/whitepapers/latest/aws-caf-for-ai/aws-caf-for-ai.html

2. AWS CAF-AI: Your AI transformation journey(4つの要素と4段階)

https://docs.aws.amazon.com/whitepapers/latest/aws-caf-for-ai/your-ai-transformation-journey.html

3. AWS CAF-AI: Foundational AI capabilities(6つの観点)

https://docs.aws.amazon.com/whitepapers/latest/aws-caf-for-ai/foundational-ai-capabilities.html

4. AWS CAF-AI: Business perspective / People perspective

https://docs.aws.amazon.com/whitepapers/latest/aws-caf-for-ai/business-perspective-the-ai-strategy-in-the-age-of-aiml.html

https://docs.aws.amazon.com/whitepapers/latest/aws-caf-for-ai/people-perspective-culture-and-change-towards-aiml-first.html

5. AWS Training and Certification Blog「Introducing AWS Certified AI Business Strategist: Built for the people who scale AI」(2026年9月)

https://aws.amazon.com/blogs/training-and-certification/introducing-aws-certified-ai-business-strategist-built-for-the-people-who-scale-ai/

6. Microsoft Cloud Adoption Framework「AI adoption」

https://learn.microsoft.com/azure/cloud-adoption-framework/scenarios/ai

7. Google Cloud「AI Adoption Framework」

https://goo.gle/38ljt79

●関連記事

- 2分で読める生成AIのいま Vol.34 AX - AI transformationという概念(note)

https://note.com/41machida_ai/n/n7f768d0d717e

- 2分で読める生成AIのいま Vol.86 【時事】クラウド一斉被害で学ぶ「層」と責任共有モデル(note)

https://note.com/41machida_ai/n/n86dd5c9baec9

- 2分で読める生成AIのいま Vol.71 「医療情報システム向けAWS利用リファレンス」を読み解く(note)

https://note.com/41machida_ai/n/nb45dffbc3eb2

●この記事は、マガジン「AI Business Strategist 学習ノート」に収録しています。後編(Vol.88)では、残りの4つの観点を読み解きます。

●2分で読める「生成AIのいま」シリーズ。バックナンバーはブログからどうぞ!

https://www.youichimachida-ai.com/blog

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町田洋一(医師・医学博士・経営管理学博士)

Youichi MACHIDA, MD, PhD, DBA

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