2分で読める「生成AIのいま」 Vol.10 -"GPT"と"o"シリーズ統合に - 次世代モデル"GPT-5"について考察

OpenAI o3が公表されましたが、今回はさらにその向こうのGPT-5について考察したいと思います。

OpenAIのサムアルトマン氏が2月中旬に"GPT-5ではこれまでの2つのモデルを統合する”と言っていたようでした:

https://x.com/sama/status/1889755723078443244?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1889755723078443244%7Ctwgr%5E94acdade68888cee2899a2780267b2cdcb83497d%7Ctwcon%5Es1_c10&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.watch.impress.co.jp%2Fdocs%2Fnews%2F1662407.html

そこで今回は、これが一体、どんなことなのか、解説してみました。

医療田さん:

ねぇ機械屋さん、今度のGPT‑5で“GPT”と“oシリーズ”が合体する、とかって聞いたんだけど、どういうこと?

機械屋さん:

ご質問ありがとうございます。これは今年2月12付、OpenAIのサムアルトマンCEOがXに投稿したのですが、

ざっくり言うと

「文章をサッと作るのが得意なGPT系」と「じっくり考えるのが得意な o 系」

を 1 つにまとめたモデルがGPT‑5になるようです。

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公式発表:2025 年 2 月 12 日、サム・アルトマンCEOがXで「GPT‑4.5が“高速型”の最後。次のGPT‑5でGPT系とo系を統合する」と宣言。

ねらい:

1) モデル選びの手間をゼロにする。

2) どんな質問でもAIが自動で“速く答えるか、深く考えるか”を切り替える。

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医療田さん:

んー。ちょっとイメージわかないんだけど。。

機械屋さん:

身近な例で言えば、人間もそうなんですよ。

ノーベル賞経済学者ダニエル・カーネマンの著作『ファスト&スロー』によると人間には

システム1(速い思考):直感・秒速判断。

 例:横断歩道で青信号になったらすぐ渡る。

システム2(遅い思考):熟考・論理。

 例:住宅ローンを組むとき金利を比較してじっくり決める。

の二つを適宜、使い分けながら考え、生活している、とされています。

GPT‑5はこの2つをAIの内部で自動スイッチできるように設計されています。

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1.レシピを考える

従来のGPT‑4(速い):1秒で提案、従来のo3(遅い):じっくり検討して提案

→GPT‑5(統合版):シンプル料理なら即答、食物アレルギーが絡む複雑レシピなら熟考

2.数学オリンピック問題 従来のGPT‑4(速い):途中で諦めがち、 従来のo3(遅い):ステップ式推論で高得点

→GPT‑5(統合版):問題を見て難易度を判断し、必要に応じ熟考

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医療田さん:

なるほど! 人間で言うと、簡単な夕飯なら「疲れてるし冷食でいいか」(システム1)、でも友達をもてなす日は「友達の好みと、栄養バランスも考えよう」(システム2)みたいな感じね。

機械屋さん:

おっしゃる通りです。ちなみにシステム1と、2、どちらがよいかは場合によります。

たとえばテニスで高速サーブを返すときは考えていたら間に合わないですよね?この場合、直感反射(システム1)が勝ちます。

一方、複雑な問題を解決するためには熟慮が欠かせないわけで、この場合タイプ2が勝るのは言うまでもありません。

ちなみにですが、この"2分で読める"シリーズは、名前が示すように、なるべくシステム1、つまりさっと読んでわかりやすいように執筆しています^^。

医療田さん:

じゃあ、GPT-5では、その"即断"と"熟考"を適宜使い分けて、、

たとえば患者さんへの説明文を書かせるとき、簡単なQAなら秒速で、難しい症例説明は熟考してくれるってわけね?

機械屋さん:

そのとおりです。

GPT‑5 は状況を見て自動的に“思考ギア”を切り替える、いわば AI 版のオートマ車。

だから医療田さんは 「どのモードで動かすか」を気にせず、「AI に何を頼み、どんな結果を得たいか」という本質だけに集中できます。

こうしてユーザーの代わりに最適モードを選んでくれる GPT‑5 は、従来モデルよりもずっと“エージェント的”──すなわち主体的に判断し行動する AI と言えるでしょうね。

医療田さん:

へー。

機械屋さん:

今後ですが、OpenAIは「統合作業が思ったより難しいので、途中でo3を単独リリースしてフィードバックを集める」と方針を微調整し、今回の"o3"リリースとなりました。

しかし最終目標は変わらず2025年中に完成版GPT‑5を公開する見込みとのことです。

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