# 2分で読める生成AIのいま Vol.43 - 動いたCowork!「疎結合と密結合」から見るAIエージェントの今後と注意点


あの「動かなかった」Claude Coworkが、ついに動いた。

前回の苦闘(Vol.40)から数ヶ月。何もしていないのに、ある日突然動いたその裏には、ソフトウェアの世界で古くから語られてきた「疎結合と密結合」という考え方が関係していました。

【この記事のポイント】

・Vol.40で動かなかったClaude Coworkが、何も変えずに動くようになった理由を考察

・「疎結合と密結合」という概念を日常の比喩でわかりやすく解説

・AIエージェントの今後の進化と、導入時に知っておくべき注意点

今回も医療田さんと機械屋さんの会話でどうぞ。

※Azure AI活用事例の続きは次回以降にお届けします。

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● あのCoworkが、動いた

機械屋:

医療田さん、、、!

医療田:

あ、こんにちは機械屋さん。

。。え、なんかすごい嬉しそうだね?

機械屋:

聞いてくださいよ。

覚えていますか、以前「Claude Cowork」を私物PCに入れようとして120分格闘した挙げ句、職場のセキュリティポリシーに完敗した話(Vol.40)。

医療田:

あー! 覚えてる覚えてる。

機械屋さん、げっそりしてたよね。

機械屋:

そうです、あの `0x80090016` です。

あれですね、先日ふと思い立って、もう一回立ち上げてみたんですよ。

何の設定も変えずに。

医療田:

うんうん。

機械屋:

、、動いたんです。

医療田:

。。え?

機械屋:

普通に動いたんです。

医療田:

えっ?まじ?

機械屋:

ええ。。正直、拍子抜けしまして。

それでですね、実はあの後、ベテランのITエンジニアの方に相談していたんですが、

その方がおっしゃっていたことが、まさにそのまま起きたんです。

医療田:

なになに?

機械屋:

「"疎結合と密結合"の概念で考えると密結合が問題だと思うけど、そのうち解決されると思いますよ」と。

医療田:

おお。。! 予言的中じゃん。

で、その「疎結合と密結合」ってなに?

● 「疎結合と密結合」ってなに? ――引っ越しで考えてみる

医療田:

名前からして、なんとなく「ゆるいつながり」と「ガッチリしたつながり」みたいな?

機械屋:

まさにそのイメージです。

ちょっと、引っ越しに例えてみましょうか。

医療田:

引っ越し?

機械屋:

ええ。

たとえば、「密結合な引っ越し」というのは、こういう状態です。

電気、ガス、水道、インターネット、電話番号、、これらが全部「住所」にガッチリ紐づいていて、引っ越すと全部一斉に止まる。再開するにも、全部の業者に個別に連絡して、開通日を合わせて、、

医療田:

あー、、それ、まさに引っ越しの面倒さそのものだよ。。

ひとつ手続き忘れると、新居でネットが使えない!とかね。

機械屋:

そうです。要素同士がガッチリ絡み合っているので、ひとつ変えると芋づる式に全部影響を受ける。

これが「密結合」の状態です。

逆に「疎結合」は、、

たとえば、電話番号がスマホに紐づいていて住所とは無関係、とか。

インターネットも、固定回線じゃなくてモバイルWi-Fiを持ち歩けば、引っ越しても何も変わらない。

医療田:

なるほど。

要素がそれぞれ独立していて、ひとつ変えても他に影響しにくいのが「疎結合」なんだね。

機械屋:

その通りです。

ソフトウェアの世界でも全く同じ考え方が使われていまして、

システムの部品同士を「なるべく独立させて、お互いに影響しないように作る」のが疎結合の設計思想です。

● Vol.40の「密結合」を振り返る

医療田:

じゃあさ、Vol.40の時のCoworkは「密結合」だったってこと?

機械屋:

そうですね、当時の状況を振り返ると、まさにそうだったと考えられます。

あの時のClaude Coworkは、PCの中に「Ubuntu」という別のOS環境(仮想マシン)を丸ごと構築して、そこから独自の暗号鍵を使って外と通信していました。

医療田:

うん、PCの中にもうひとつPCを作るみたいな、って言ってたよね。

機械屋:

ええ。

問題は、その仮想マシンがWindowsの深い層、、

具体的にはHyper-Vというシステムや、暗号鍵の管理、ネットワークの設定などに、ガッチリ「密結合」していたことなんです。

引っ越しの例でいえば、「電気もガスも水道も全部、大家さん(Windows)の名義」みたいな状態ですね。

だから、大家さんの管理ルール(=職場のセキュリティポリシー)が変わると、全部止まってしまった。

医療田:

ああ。。! だから「0x80090016」だったんだ。

「大家さんが許可してないから、勝手にガス開栓するな!」って止められたんだね。

機械屋:

ははは、、そういうことです。

● じゃあ、なぜ今は動くのか?

医療田:

で、なんで今は動くの?

機械屋さん、設定なんて何もいじってないんでしょ?

機械屋:

何もいじっていません。

推測になりますが、Anthropic(Claudeの開発元)側が、Coworkのアーキテクチャを「疎結合」の方向に改善したのだと思います。

実はですね、2026年2月にClaude CoworkのWindows版が正式にリリースされているんです。

以前の「リサーチプレビュー」とは別に、本格的なWindows対応が行われました。

医療田:

あ! そうだったんだ。

機械屋:

その際に、仮想マシンの構造やネットワークの接続方式が見直されて、、

引っ越しの例でいえば、「電気もガスも自分名義に切り替えて、大家さんのルールに左右されにくくした」ようなイメージでしょうか。

PCの深い層にガッチリ食い込むのではなく、必要最小限のところだけお借りして、あとは自分の領域で完結する。

密結合から疎結合へ。

これによって、職場のセキュリティポリシーとの衝突が解消された、と考えるのが自然ですね。

医療田:

すごい。。

あのベテランエンジニアさんが「そのうち解決される」って言ってたの、まさにこれだったんだね。

機械屋:

ええ、ベテランの勘というか。。

「密結合による問題は、いずれ疎結合化によって解決される」というのは、ソフトウェア開発の歴史の中で何度も繰り返されてきたパターンなんです。

その方は、経験からそれを見抜いていたのでしょうね。

● 「疎結合」はAIエージェント時代のキーワード

医療田:

ねえ、この「疎結合」って考え方、Coworkだけの話じゃなくて、もっと広い話なんじゃない?

機械屋:

鋭いですね。おっしゃる通りです。

実は「疎結合」は、これからのAIエージェント全般にとって、非常に重要なキーワードになると思います。

今、世の中にはいろいろなAIエージェントが登場していますよね。

Google Geminiの「Antigravity」、OpenAIの「Operator」、そしてこのClaude Cowork。

それぞれ「PCの中にどれだけ深く入り込むか」が異なるんです。

医療田:

あ、Antigravityは「ブラウザの延長」で動くから、あまり深く入り込まないんだっけ。

Vol.40でもそう言ってたよね。

機械屋:

そうです。Antigravityはクラウド側で処理するため、PCとの結合度は比較的低い、つまり「疎結合」寄りです。

一方でCoworkは、PCの中にVMを立てて動くため、パワフルな反面、結合度が高くなりやすい。

医療田:

なるほど。。

じゃあ「密結合」が悪くて「疎結合」が正解ってわけでもないの?

機械屋:

さすが医療田さん。。そうなんです、そこが大事なポイントでして。

密結合には「強力な連携」というメリットがあります。

Coworkがファイルを直接編集したり、PCの中のアプリを操作したりできるのは、ある程度「密に結合」しているからこそです。

引っ越しの例に戻ると、「大家さんと仲良しだから、何かあったらすぐ対応してもらえる」みたいな面もあるわけですね。

医療田:

あー、わかる。。

私の病院でも、電子カルテが院内ネットワークに密結合してるから「超高速」なんだけど、

その代わり外からアクセスできない、、みたいなの、まさにそれだよね。

機械屋:

おお、まさにその通りです。素晴らしい例えですね。

大事なのは、「どこを密結合にして、どこを疎結合にするか」のバランスです。

セキュリティに関わる部分はなるべく疎結合にして影響範囲を限定し、パフォーマンスが必要な部分は密結合で高速化する。

この設計思想は、今後のAIエージェントが企業や病院に導入される際に、必ず議論されるポイントになるはずです。

医療田:

あ、まって。。いま町田さんからメッセージ来た。

「AntigravityよりもCoworkのほうが文章の質が高い気がします。手直しが少なくて済む。By 町田」

、、だって。

機械屋:

お。。それはですね、まさに今の話と繋がるんですよ。

医療田:

え、どういうこと?

機械屋:

Antigravityは「ブラウザの中」で完結する仕組みです。

クラウド側で処理して、ブラウザ越しに操作する。PCの深い層には触らない。つまり「疎結合」寄りですね。

医療田:

うん、だからセキュリティ的に安心だったんだよね。

機械屋:

そうです。

一方でCoworkは、PCの中にLinuxのVM(仮想マシン)を丸ごと立てます。

そこにファイルシステムがあり、コードを実行する環境があり、ローカルのファイルに直接アクセスできる。

医療田:

、、あ、なるほど。「密結合」寄りだから、できることが多いってこと?

機械屋:

ええ、そうなんです。

Antigravityが「ブラウザの窓から手を伸ばして作業している」とすると、

Coworkは「作業部屋ごと自分の中に持っている」感覚です。

医療田:

おお。。

機械屋:

たとえばこのブログ記事を書く場合、、

Antigravityだと、ブラウザ上のテキストエディタに文字を打ち込む形になります。

Coworkだと、VM内でファイルを直接生成して、過去記事のメタデータを読み込み、スタイルガイドを参照しながら書ける。

医療田:

あー、、! だから「手直しが少ない」のか。

参照できる情報量と、作業の自由度がぜんぜん違うんだね。

機械屋:

おっしゃる通りです。

ただ、これも先ほどの話と同じで、トレードオフがあります。

Coworkは強力な分、PCとの結合度が高くなるので、Vol.40のようなセキュリティの壁にぶつかるリスクがある。

Antigravityは制約がある分、どんな環境でもサッと使える手軽さがある。

医療田:

つまり、、「密結合だから高品質」「疎結合だから手軽」で、目的によって使い分けるのが正解?

機械屋:

まさにそういうことです ^^

町田さんが感じた「文章の質の差」は、まさにこの設計思想の違いから来ているんですね。

● 今回の教訓

医療田:

今回の話、めちゃくちゃ勉強になったよー。

「動かなかった理由」だけじゃなくて、「動くようになった理由」にもちゃんと意味があったんだね。

機械屋:

ありがとうございます。

では、今回の教訓をまとめましょうか:

・「密結合」とは、システムの部品同士がガッチリ絡み合っている状態。ひとつ変えると全体に影響する。

・「疎結合」とは、部品同士が独立している状態。変更の影響が限定的で、柔軟性が高い。

・Vol.40でCoworkが動かなかったのは、仮想マシンがWindowsの深い層に「密結合」していたため。

・2026年2月の正式リリースで、Anthropicがアーキテクチャを疎結合化したと推測される。

・AIエージェントの導入では、「どこを密結合にし、どこを疎結合にするか」が重要な判断ポイント。

・「密結合の問題は、いずれ疎結合化で解決される」——これはソフトウェア開発の歴史が証明しているパターン。

医療田:

最後のやつ、かっこいいね 笑

ベテランエンジニアさんの見立てが当たったわけだ。

機械屋:

ええ。技術は日々進化しますが、設計思想の本質は変わらない。

だからこそ、こういった概念を知っておくと、「次に何が起こるか」が少し見えてくるかもしれませんね。

で、

ですね、医療田さん。

医療田:

?なに?

機械屋:

、、実はですね、

まさにこの記事、その「動いたCowork」で書いているんですよ。

医療田:

。。え?!

え、いまこの瞬間?!

機械屋:

ええ ^^

しばらくはAntigravityとどちらが使い勝手がいいか、検証ですね。

医療田:

な、なんか、AIエージェントの進化スピードがすごい。。

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● よくある質問(FAQ)

Q. 「疎結合」と「密結合」とは何ですか?

A. ソフトウェアやシステムの部品同士の「つながり方」を表す概念です。密結合は部品がガッチリ連携している状態で、高速・強力ですが変更の影響が大きい。疎結合は部品が独立していて、柔軟で変更しやすいのが特徴です。

Q. Claude Coworkが動かなかった原因は何でしたか?

A. CoworkのVM(仮想マシン)がWindowsの深い層(Hyper-V、暗号鍵管理等)に密結合していたため、職場のセキュリティポリシー(Microsoft 365のゼロトラスト設定等)と衝突し、通信がブロックされていました。

Q. なぜ設定を変えていないのに動くようになったのですか?

A. 2026年2月にAnthropic社がClaude Cowork Windows版を正式リリースした際に、アーキテクチャを疎結合方向に改善したと推測されます。これにより、セキュリティポリシーとの衝突が解消されたと考えられます。

Q. AIエージェントを組織に導入する際に注意すべき点は?

A. 「どこを密結合にして、どこを疎結合にするか」が重要です。セキュリティ関連は疎結合にして影響範囲を限定し、パフォーマンスが必要な部分は密結合にする。組織のセキュリティポリシーとの整合性を事前に確認することが大切です。

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●2分で読める「生成AIのいま」シリーズ。バックナンバーはブログからどうぞ!

https://www.youichimachida-ai.com/blog



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医療法人DIC宇都宮セントラルクリニックさまにて生成AIの講演をさせていただきました