# 2分で読める生成AIのいま vol.37Microsoft Azureを使ったAI活用3。Azureでできること#2:膨大な資料を「宝の山」に変える
前回は、Azure AIの画像や言語、音声などの認識機能と、それを使った活用事例についてご紹介しました。
今回は、企業の命運を握る「データ活用」の話です。
今回も医療田さんと機械屋さんの会話でどうぞ。
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医療田:
機械屋さん、前回のAzure AI 、画像・顔認識や言語・音声認識の話、とても勉強になったよ。
機械屋:
よかったです!
医療田:
で、今日はどんな話を聞けるのかな?
機械屋:
はい、
医療田さん、物理学者のデイヴィッド・ドイッチュの言葉ですが、ご存じですか?
**「知識とは、単なる情報の蓄積ではなく、それを『活用できる形』にしたものである」** と。
医療田:
うん、、と。知らない。
けど、以前AIXの話のときに出てきた、DIKWに通じそうな話だね。
あと、今回は情報とか、知識、、ビジネス系ではよく”ナレッジ”って横文字でいうけど、そういう話なんだな、っていうのは分かった。経営学でも「ナレッジマネジメント」って、重要な科目でしょ?
機械屋:
ありがとうございます。
必要な時にすぐ取り出せる、ナレッジという宝の山を作る。
今回はそんなお話です。
## 1. 熟練デザイナーの「脳内」を検索せよ
機械屋:
まずは**Azure AI Search** です。
医療田:
Search、、だから、検索?
Google検索みたいなもの?
機械屋:
Googleがインターネットに公開されている情報の検索であるのに対し、**Azure AI Search**は**企業が持つ独自のデータベース**を構築し、検索する点が異なります。
インターネット上の情報ではなく、社内のマニュアルや図面、契約書といった「閉じられたデータ」を検索するための、いわば『自社専用の検索エンジン』を構築できるサービスなんです。
医療田:
ふーん?
機械屋:
たとえば **トヨタ自動車** の例があります。
彼らは数十年分の膨大な車のデザインデータを、**Azure OpenAI Service**と**Azure AI Search**を組み合わせて、AIで瞬時に探し出せる仕組みを作りました(※1)。
※1 [Microsoft Customer Story: トヨタ自動車株式会社](https://news.microsoft.com/ja-jp/features/241120-toyota-is-deploying-ai-agents-to-harness-the-collective-wisdom-of-engineers-and-innovate-faster/)
医療田:
数十年分!
そんなの、人間だったら探すだけで日が暮れちゃうね。
機械屋:
ええ。これまでは「あの部品の図面、どこだっけ?」となったら、ベテランの設計者に聞くしかなかった。
つまり、知識が「ベテランの頭の中(暗黙知)」にしかなかったんです。
医療田:
あるある。「○○さんに聞かないと分からない」ってやつね。
でもその人が辞めちゃったら終わりじゃん。
機械屋:
その通り! 企業にとって最大の損失は「忘却」です。
Azure AI Searchは、AIが画像や図面の内容まで理解してタグ付けしてくれるので、新人でも「赤い スポーツカー ホイール」みたいに入力するだけで、数万件の中から欲しい過去のデザインを瞬時に見つけ出せる。
さらに、これに**Azure OpenAI Service**のような生成AIを組み合わせることで、**「RAG(検索拡張生成)」** という仕組みが構築できます。
単に文書を探すだけでなく、「過去の不具合事例を元に、今回の設計の注意点をまとめて」といった指示に対して、AIが社内データを検索し、それを読んで要約・回答してくれるようになるんです。
医療田:
へええ!
「検索」だけじゃなくて、「読んで教えてくれる」んだ。
機械屋:
そのとおり、ベテランの「暗黙知」を、誰もが使える **「形式知」** に変える、というわけですね。
## 2. 過去の「提案書」から答えを見つけ出す
機械屋:
もう一つ、日本の **富士通** の事例も面白いですよ。
彼らは、社内の膨大なマニュアルや過去のトラブルシューティング記録をAIが検索・回答してくれるシステムを作りました(※2)。
医療田:
「マニュアルどこだっけ?」問題をなくすやつだ笑。
機械屋:
はい。さらにすごいのは、営業資料や提案書の作成支援です。
「過去に似たような提案をした資料はないか?」をAIが探し出し、「それを踏まえて今回の顧客向けにアレンジして」といった指示まで出せるんです。
医療田:
うわ、便利!
「ゼロから資料作る」のが一番大変だもんね。
先輩の作った「良い資料」がすぐ出てくれば、新人でも即戦力になれるじゃん。
機械屋:
まさに。「組織の知恵」を全員で共有するナレッジマネジメントの好例ですね。
※2 [Microsoft Customer Story: 富士通株式会社](https://www.microsoft.com/en/customers/story/21885-fujitsu-azure-ai-foundry)
## 3. 「紙の山」をデータに変えるAIの目
機械屋:
でも、検索するためには、そもそもデータがデジタル化されていないといけませんよね?
そこで活躍するのが **Azure AI Document Intelligence** です。
医療田:
ドキュメント、、文書?
機械屋:
はい。紙の請求書や手書きのメモ、PDFの契約書などを、AIが読み取ってデータ化してくれるサービスです。
単なる文字読み取り(OCR)ではなく、「○月○日の請求額はいくら」といった情報の意味まで理解して抽出できるのが特徴です。
医療田:
なるほど、入り口の「デジタル化」を担当するわけね。
## 4. 動画も音声も、すべてが「検索対象」になる
機械屋:
さらに、最新の **Azure AI Content Understanding** を使えば、動画や音声ファイルからも情報を引き出せます。
「会議の録画データ」や「コールセンターの音声ログ」から、話している内容、参加者の感情、映っている物体などをマルチモーダル(多角的)に分析できるんです。
医療田:
えっ、動画の中身まで検索できるの?
「あの会議で部長が怒ってたシーン」とかも見つかるのかな?
機械屋:
見つかりますね(笑)。
これまで「再生しないと分からなかった」動画や音声データまでもが、検索・活用できるナレッジに変わるんです。
医療田:
そういえば、この画像の認識とか音声の認識って、前回(Vol.36)聞いた話だよね?
機械屋:
おっ、いいところに気が付きましたね!
実は、前回紹介した『目(Vision)』や『耳(Speech)』の技術が、ここでは『ナレッジマイニング(知識発掘)』のために使われているんです。
単に『見る・聞く』だけでなく、そこから『意味(データ)』を掘り起こして、会社の大事な知識として蓄積する。
技術の根っこは同じでも、使い道が『オペレーション支援』から『経営資源の活用』へと進化しているイメージですね。
## まとめ
機械屋:
今回の教訓をまとめましょうか:
- **Azure AI Search**:機密データを含めた社内検索エンジンを作る。生成AIと組み合わせれば「RAG(検索拡張生成)」も実現可能。
- **Azure AI Document Intelligence**:紙やPDFをデータ化し、検索の「入り口」を作る。
- **Azure AI Content Understanding**:動画や音声も含めたあらゆるデータをナレッジ化する。
- **共通点**:溜まっていた大量のデータを、AIが「宝(活用できる知識)」に変える。
医療田:
「知識は活用できてこそ」かあ。
うちの病院の倉庫にある大量の紙カルテも、いつかAIが全部読んでくれて、
「この患者さん、昔こんな病気してましたよ」って教えてくれるようになるのかな。
機械屋:
近いうちに、必ずなりますよ。
過去を忘れない組織が、未来を賢く作れる。
AIがそんな組織づくりに大きな力となるはずです。
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